地球環境塾

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最終レポート(鈴木健介)

気づいたものに責任がある――最終回のゼミで、「難民に送る缶詰百万個の会」のスタッフの方から、まさに締めくくりにふさわしい言葉をいただいた。このゼミを通じて「気付いた」ことは、枚挙にいとまがない。それ全てに責任を負ってしまったのか…と思うと、少し息苦しさを感じてしまう。しかし、結局のところ、気付いた者が責任を負わないところで、(少し大げさな言い方になるが)社会は変えられないと思う。

「持続可能な社会」という言葉は、昨今、巷でもよく聞かれるようになったが、どうも、ユートピア的な理想論を聞かされているような気がしてならなかった。漠然としではあるが、「今の社会って、どこかおかしい」とは昔から思っていたし、「本当にこのままで地球がもつのだろうか」と思うことはあった。しかし、どうも持続可能な社会と聞くと、「そりゃぁ、それは大切なことだろうけど…」とドライな視線を送ってしまう自分もいた。しかし、よく考えてみれば、今我々が生活する社会が持続不可能だとしたら――実際そうなのだが――、持続可能な社会を考えることは、まさに将来の我々人間の“安全保障”問題であり、環境問題の研究者のテーマとして片づけてしまうわけにはいかない。

では、持続可能な社会とは何なのだろうか。どのようなアプローチがあるのか。最初の授業で、「持続可能な社会」というキーワードを与えられた時には、少々戸惑った。資源の浪費の上に成り立つ都市の生活は持続不可能な社会の象徴であり、僕は今までそんな都市に生まれ育ってきた。どこから手をつければいいのか分からない、そんな気がした。

この大きな課題へのヒントを与えてくれたのが、毎回のゼミでのプレゼンであり、合宿での経験だった。こういう見方があるのか、こういう視点からも持続可能性を考えられるのか…各メンバーから提案された個性ある視点は、とても興味深いものだった。高い完成度を要求されるプレゼンであったからこそ、それぞれのメンバーは一つのテーマについても多角的に調査してプレゼンに臨んでいたので、少しずつ持続可能な社会という課題が自分に近づいてくるように感じた。もちろん、それは、自分のプレゼンの準備の作業の中でも感じたことだった。この基セミのキーワードである「持続可能性」という大テーマの上で準備を進めていくわけだが、調査の作業を始める前から、自分が調べようとする内容と持続可能性との関わりが明らかなことはなかった。むしろ、調べていく中で、「あ、これが持続可能性と関わってくるんだ」と気付くのだった。今回のゼミでは、食と農・水・森という3つのテーマからそれぞれがアプローチをかけたが、それ以外の視点からも様々なアプローチが考えられることは言うまでもなく、さらに、こうした「持続可能性社会」という環境学的テーマが、理系から文系まで全ての学問領域からの分析と考察を必要とすることを、自分の発表やメンバーの発表から学んだ。それは、この持続可能性という問いは、社会構造そのものに対する問いだからだと思う。とはいえ、どうしてもプレゼンの発表を聞くだけでは、「頭で理解する」にとどまってしまう。合宿で体験した農村での滞在は、まさに、持続可能な社会の実体験であった。僕の2回目のプレゼンのまとめで話したことをそのまま引用すると、「農村の暮らしには、それ自体に持続可能性があり、こうした農村地域での滞在を通じて、自らの普段のライフスタイルを見直すこともできる。」人間も生命のサイクルの一部なんだ、ということは頭では理解できても、なかなか実感できない。農産物を育てて、生き物を殺して空腹を満たす、木々を切って暖房や炊事の火を得る。そんな生活を通して、自分たちが自然の中に生きていることを実感した。そして、こういう一方通行ではない、サイクルのある生活(これぞ循環型社会なのか?)こそが、持続可能な生活なのではないか感じた。
しかし一方で、持続可能な社会にするための具体的方策という答えを得ることはできなかった。もちろん、この課題が、「こうすればいいんだ」という単純な回答を持って答えられる課題ではない。だが、かといって、何もしなくていいわけではない。どうすればいいのか?

ゼミを通して気付いたことに、どう責任を果たしていくのか。責任を果たすというと、本当に、しんどい気分になってしまうが、僕はこう考えたい。例えば、何か「使い捨て」のものを買う機会に遭遇したら、まず立ち止まって考えてみたい。「これを買ったらどうなるんだろうか?」いつもあたりまえのように、ご飯を食べているが、そこでも、少し考えてみたい。「この食べ物はどうやって作られたんだろう?」そして、食べ物への感謝の気持ちを忘れずにいたい。行政の地方への支援についての報道を見ても、「これが、持続可能な農村社会の維持を守ることができるのか」という視点で捉えたい。つまり、今回の基セミを通じて得た視点を、普段の生活や、これから深く学んでいく自分の専門の学問領域の中に、少しずつ導入していきたいということだ。無関心になることが、一番危険なこと。この言葉は、合宿の中でもプレゼンの中でも何度も聞いてきた。関心を持ち続けたい。しかし、関心を持つだけでは変わらないこともある。僕は、プレゼンでグリーン・ツーリズムを取り上げたが、都市住民がグリーン・ツーリズムに参加することは、持続可能な社会を考える機会を得るだけでなく、同時に農村社会の内生的再生と農村社会の維持発展へも寄与することができる。こうした取り組みは非常に豊富に用意されているので、アンテナを張り巡らして、自分が参加できる範囲でぜひ積極的にアクセスしていきたいと思う。そして、自分たちの将来のために、自分たちの後世の世代のためにも、持続可能な社会を“取り戻していきたい”と思う。

最後になるが、後期にこのゼミを取ることができて本当に良かった。それも、ただ、たくさんのことを学べたから、というだけではない。素敵な仲間と共に学びあえたことに感謝。プレゼンでの核心をついたご指摘や、驚くほどの豊富な見識にいつも感動した高野先生との出会いに感謝。TAの加藤先輩を始め、プレゼンの準備やゼミ・合宿で本当によくしてくださった先輩方に感謝。そして、合宿でお世話になった皆さんに感謝である。これで締めくくろうと思ったが、一つ言い忘れていたことがあった。

僕たちに感動を与えてくれた、農村・そして自然の美しさに感謝したい。何十年後にも、この感動を味わえる地球を守っていこう!ありがとうございました。


2009年度後期環境塾生
経済学部1年 鈴木健介
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by kan_zyuku | 2010-01-29 21:11 | 食と農@2009

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